今年2024年に、東京の湾岸エリア・晴海に新しくオープンした「シェアプレイスHARUMI FLAG」。そのオープンと同時に、エディター企画がスタートしました。
物件に住まいながら、入居者ならではの視点でシェア暮らしの魅力や価値を企画・発信する「エディター」。今回は任期を終えたばかりの晴海エディターの皆さんに、活動を通して感じたシェア暮らしの魅力や、自身の変化について伺いました。
右から
ぜんさん(20代) 宿泊業
シェアハウスは5軒目。以前はコミュニティマネージャーをしていた経験も。
グミさん(30代) 旅するフリーランス
住まい軸のコミュニティに興味があり、一人暮らしから「シェアプレイスHARUMI FLAG」へ。一軒家の小規模シェアハウスは経験あり。
まあやさん(20代) 事務
東京のライター講座に通うために、関西から上京。今回が初のシェアハウス暮らし。
ぴょんさん(30代) 作家・漫画家
普段関わらない人や環境に触れながら、暮らしを漫画にしたいと思い、愛知から上京。シェアハウスは初めて。
海野さん
リビタ社員。今回の晴海エディター活動の仕掛け人でもあり、「シェアプレイスHARUMI FLAG」の物件担当。
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想像以上に熱量が高い入居者さんがたくさん
──この「シェアプレイスHARUMI FLAG」に、晴海エディターとして入居が決まったときは、率直にどんな気持ちでしたか?
まあや:絶対にエディターをやりたい!と意気込んで応募したので、素直に嬉しかったですね。ちょうどライターを目指して上京するタイミングでしたし、これからの人生を考えるとワクワクが止まりませんでした。
グミ:100人規模のコミュニティのオープニングメンバーになれる機会もそうそうないから、私も素直に嬉しかったですね。
──不安はありませんでしたか?
ぴょん:新しい世界に触れたいと思って選んだ東京でのシェアハウス暮らしでしたが、もともと消極的で変化を好まないタイプなので、最初はやっぱり不安はありましたね。もちろん、どんな人たちに出会えるんだろうという期待もありましたけど。
ぜん:個人的に新しい環境にいくことが好きなので、僕は不安よりも期待感の方が大きかったかもしれないです。晴海エディターのメンバーがどんな人たちなのかも、楽しみにしていました。
──実際に入居して、晴海エディターやほかの入居者の皆さんとの交流が始まってからの印象を聞かせてください。
グミ:まず、シェアハウス経験者が想像以上に多くてびっくりしました。みんなアクティブだし、コミュニティを盛り上げることへの熱量が高いというか。今まで運営に携わってきたコワーキングスペースなどの仕事軸のコミュニティとはまた全然違って、こちらが無理に手を加えなくても自然とコミュニティが生まれていく感じが新鮮でした。
まあや:たしかに私たちエディターに限らず、最初の段階で入居者が発信・参加しやすいような環境をつくってくれる人たちがいたのは、ありがたかったし心強かったなと思います。
ぜん:僕自身、今まで4軒シェアハウスを経験してきましたが、この物件の入居者さんたちはやっぱりオープンを目がけて入居してきているメンバーだからか、全体的に感度と熱量が高い感じがしましたね。そしてみんな、コミュニケーション能力が高いし、持っているスキルもすごい……!
ぴょん:みんな、「なんでも面白がる精神」があるよね。自分は漫画を描いたり発信したりするのはできても、イベントの企画や運営はできない、向いていないと思っていたんです。でも、アイデアをぽろっと出してみたら「それいいね!」って面白がってくれる入居者さんたちがいて、それを形にするために一緒に考えてくれる。そういう人たちの存在に、かなり助けられました。
人とのつながりや仲間を知るきっかけを生んだイベントたち
──エディターとして、住まいながら「FLAG=きっかけをつくりだすこと」を求められていた皆さん。個人的に「これは頑張った!」という企画を教えてください。
ぴょん:「ご飯のおとも選手権」は楽しかったですね。入居者の皆さんにイチオシの一品を持ち寄ってもらい、その中から投票で優勝を決めるというものなんですが、共用ラウンジのキッチンカウンターにずらっと並んだ景色は壮観でした。
ぴょん:リビタさんには白米を用意してもらい、炊飯器をフル稼働させて炊いたお米はからっぽになりました。お互いの好きを知るきっかけにもなったし、“同じ釜の飯を食べた仲間”として関係が深まったなあと思います。
グミ:入居者のみんなからも「エディター企画ありがとう!」という声もたくさんもらえて、嬉しかったですね。
ぜん:楽しかったよね。僕としては、シェアハウス自体のコミュニティも広げていきたいなと思っていたので、シェアプレイスと外部のシェアハウスの住人同士が交流できるようなイベントや、日本酒会を個人的に企画・運営して、50人ほど集まってくれたのは印象に残っていますね。
まあや:たしかに、ぜんちゃんは最初からコンスタントに個人の企画で盛り上げてくれていた印象がある!
ぴょん:私も、ぜんちゃんが企画した赤羽のシェアハウスでのモルック会に行かせてもらいました。こういう形でほかのシェアハウスを見ることもできるんだなって新鮮でしたね。
──シェアプレイス内だけにとどまらず、人と人のつながりが生まれているんですね。先日、皆さんのエディター活動の集大成として「運動会」を開催したと伺いました。どんな経緯で生まれたイベントなんでしょうか?
グミ:割と最初から、まあやちゃんが「運動会したい」って言ってくれていた記憶がある(笑)。
まあや:そう、絶対に運動会しかない!って思って(笑)。スポーツに関するサークルが活発だったのもあるし、最後にみんなでチームワークを合わせてやり遂げるようなイベントで締めくくりたかったんですよね。
──ほかの入居者の皆さんにも参加してもらうために、工夫した点はありますか?
まあや:みんながいるラウンジで、積極的にミーティングしたり、運動会の話題を出したりしましたね。今度やるからみんな来てね、楽しみだねって。
ぴょん:あと私たち自身もエディターとして胸を張って活動を終えるためにも、思いっきり楽しもうと決めて、自費でTシャツをつくりました。よく見ると、真ん中に「私がエディターです」って書いてあります(笑)。
グミ:「大きい声じゃ言えないけれどエディターがんばるぞ!」っていう決意表明なので、この大きさはあえてです(笑)。ぴょんちゃんが自分の作品づくりで使ったことのあるシルクスクリーンショップを教えてくれて、印刷しに行きました。エディターとしての立ち振る舞いに悩んでいたとき時に、まずは自分たちが楽しむことができたら、みんなも乗っかってくれるんじゃないかと思ったんですよね。
ぜん:最終的に20人以上の参加者が集まってくれて、僕らも含めてみんなめちゃくちゃ楽しんでいましたね。意外な特技もここで知ったりして。
まあや:本当に楽しかった……! 会場を押さえたり、準備をしたりするのは大変でしたが、みんなが全力で楽しんで笑顔になっているのを見て、やってよかったなあと心から思いました。
エディターの経験を経て生まれた、自分自身の変化
──皆さんにとっても充実した半年間だったのが伝わってきました。では最後に、エディター活動を通して周囲との関わり方やご自身の考え方にどんな変化があったのか教えてください。
ぴょん:自分の価値観や創作の幅が広がったなと思います。このシェアで出会った人たちって、自分が話したことに対して、うがった見方をせずに純粋に受け取って返してくれる人ばかりなんです。だから、今まで自分がいかにこじれた狭い価値観をしていたんだろうと気づいたし、同時にそれが解けた感じがして。
創作面では、今までは漫画に自分しか描いたことがなかったんですが、この暮らしを通して初めてエディター仲間を登場させました。友人とはいえ他人を描くことの難しさを感じつつ、やりがいも感じて。もうちょっと描いてみたいなと思うようになりました。
ぜん:僕も、ほかの入居者から影響を受けたところは大きいですね。仕事や副業を精力的にやっている人も多かったので、自分もスキルアップしながら幅広い分野に挑戦していこうとポジティブに考えるようになりました。あとは、イベントの企画・運営を通して、やっぱり自分はみんなが楽しそうにしている姿を見るのが好きだし、そのためなら頑張れる人間なんだなということに気づかされたなと思います。
まあや:私はもともとライター志望でしたが、じつは今はもう目指すのをやめました。その理由も、ここでエディターとして実際に記事を書いたり、いろいろな人と話をするなかで自分にとって心地よいこと、幸せに感じることがわかってきたからなんです。
仕事を生きがいにしている人も多いし、それももちろん素敵だと思う。でも自分はそれを選ばないなと気づけたのは、私にとって大きな収穫でした。今後の人生の歩み方に確信が持てた上に、家族だと思える大切な仲間にも出会えたので、本当に宝物のような経験になりましたね。
グミ:活動するなかで、この4人の得意と不得意が上手くはまったのを感じて、“みんなでコミュニティをつくっている”と思えたのが私にとってはすごく貴重でした。誰かひとりで引っ張っていくんじゃなくて、協力しあって形作っていく場の在り方を知れたというか。以前、コミュニティマネージャーの仕事は一度離れたんですが、やっぱりコミュニティって面白いなと思える時間でした。
私自身、入居時は不安もありましたが、最終的には離れたくないと思えるくらいここでの暮らしが好きになりました。もしシェアプレイスに興味はあるけれど不安という人がいれば、「一回試しに住んでみて、合うか合わないかはそれから決めてもいいんじゃない?」と伝えたいですね。
文:むらやまあき/撮影:平瀬夏彦
取材・撮影:2024年10月